Run x Climb = Fun!!

登って走ってスピードハイク

リーダー山行のすゝめ

パーティー登山におけるリーダーの重要性は広く認識されているところです。

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登山活動におけるリーダーの役割とは、パーティーの安全と登山の成功のために適切な判断を行うことが第一でしょう。それと同時に、リーダーの判断に盲目的に従うだけではなく、リーダーの判断をサポートできるような力量を持ったメンバーの存在(あるいは育成)も、登山の成功において重要な鍵を握ります。

友達同士で行くような里山ハイキングでは、厳密な意味でのリーダーは不要なのかもしれませんが、計画・行動時の判断に良し悪しによってパーティー全体の安全が脅かされるレベルの登山活動においては、きちんとパーティーのリーダーを決め、各メンバーはリーダーの判断を尊重しつつサポートできるような体制で行うことが望ましいというのが自分の意見です。これは、自分が会社の山岳部という組織で厳密なリーダー制のもとで山登りをやってきたからという理由もありますが、山登りに限らず複数人で行う際には誰かしらが情報をまとめたり、共有したり、判断を下すピボットにならなければ話がまとまらなかったり、判断が遅くなってしまう…という経験的事実に基づくものでもあります。特に、山登りのように危険が伴う可能性のある集団活動に関しては尚更のことです。

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さて、リーダーができるかどうかは、山での体力・経験もありますが、それ以上にパーティー登山に対するコミットメントの意識なんじゃないか、と個人的には思います。それはどういうことかというと、個人の力量と経験だけに頼った登山と、パーティーの力を活用した登山との間には、質的な違いがあるからです。

パーティー登山の面白いところは、メンバー構成やリーダーのスキルによって似たような登山計画でも大きな結果が生まれるところでしょうか。登山の力量が違うのは当たり前ですし、それをいかに吸収し、パーティーの力が最大限に活かせるような登山にするか…というのは、アートとかマネージメントに近いスキルだと自分は思います。

純粋な山との対峙ということに関して言えば、ソロ登山もほぼ同様の要素を持っているわけですが、自分のことだけを考えて最適化すればよいのと、パーティー全体のことを考えて最適化する必要があるのとでは、計画をする上でも行動する上でも圧倒的に異なるアプローチが必要になる…ということは感覚的に分かってもらえるんじゃないかと思います。

登山のリーダーとして計画と行動に対して責任を持つということは、登山活動の深みを知るよい機会であると同時に、素晴らしい教育機会だと自分は考えています。計画時の行程の妥当性から、行動中のペースの決め方、休憩ポイントの選び方まで、知識と経験に基づく判断の妥当性が試されることの連続なわけで、リーダーとして場数を踏むことは確実に登山技術の向上に寄与します。

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で、この記事の趣旨は「リーダー登山をしましょう」ということです。

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トレランでも、スピードハイクでも、普通の登山でも、リーダーとして計画を考えて、行動することで、確実に山での経験と知識と判断能力を磨くことができます。よくありがちなのは、「すでにリーダーをやってくれる人がいるから」という理由で盲目的に既定のリーダーについていくことをよしとしてしまうことですが、これではいつまでたっても登山の技術を磨くことはできませんし、独立した登山者になることもできません。

ここのところの「意識を変えましょう」というのが、著者が強調しておきたいメッセージです。

よきリーダーとなるには、優秀なリーダーがやっていることをよく見て学び、例えばサブリーダーという形でパーティー登山の成功に貢献する回数を重ねていくのが王道でしょう。ポイントは、上に書いた「個人の登山の成功」に寄与する要素(個人登山とパーティー登山で不変)と「パーティー登山の成功」に寄与する要素(パーティー登山独自の難しさ)をよく把握して、二つの要素を組み合わせて最適化していくことが自然にできるようになるか、ということだと思います。

具体的に細かいことを書き始めるとキリがないので書きませんが、トレランやスピードハイクの個人・パーティーが、山で最高のパフォーマンスを安全に出し切るためには、登山の世界のノウハウをうまく使うのがベストではないか、というのが自分の考えです。