Run x Climb = Fun!!

登って走ってスピードハイク

南アルプスでスピードハイク

山小屋泊まりでスピードハイクを実行してみました。

詳細は以下のレポートを読んでいただくとして、思ったことをつらつらと...。

www.yamareco.com

今回のコースはコースタイムだとそれぞれ13時間と16時間で、実際の所要時間は6時間半と9時間強(夜叉神峠登山口まで)だったので、行程の圧縮率は50%と56%ということになります。

二日目は序盤の天候が悪く、アサヨ峰からミヨシノ頭までややテクニカルな岩場も含む風雨の稜線が続いたのでペースが上げられなかったことと、補給食不足で南御室小屋でピットストップを強いられたこと(15分)、夜叉神峠でのんびり立ち話していたこと(15分)...などが所要時間増大に貢献しているので、巻き気味に行動していれば両日ともに圧縮率を50%にもってくることはできた気がします。

さて、スピードハイクのコースとして計画時に意識したことは、

  • コースタイムの半分で踏破できてちょうどよい行程
  • エスケープのしやすさ
  • 人の少なさ

といったあたりでしょうか。

一般登山として歩いても味わい深いコースですが、これを週末の二日間だけで楽しんでしまえるのは、トレランスタイルのスピードハイクならではの醍醐味と言えそうです。 

今回はこれまで使っていなかったトレラン装備を本格的な山行き用として投入してみたのですが、その中でも特に有効だった装備を書き出しておきます。

  • モンベル・バーサライトジャケット: 耐久性が心配ではあるけれど、軽さとコンパクトさは正義。10月頭の南アルプスの風雨の稜線でも問題無し。
  • アームウォーマー: 自転車用のもの。ちょっと腕が寒いなといった時に、すっと伸ばせば冷えを軽減できて便利。レインウェアーを着るときも、あるのとないのとで腕の寒さがかなり違う。
  • モンベル・クロスランナーパック 7L: 機能的なトレラン用ザック。行動中に補給食やボトル、カメラなどにアクセスしやすいポケットが豊富。ギリギリ補給食が足りなかった積載量が課題だったけど、多分押し込めばなんとかなってた。
  • Newton・BOCO Sol: 昨年のUS出張時に買ったけど履いてなかったトレランシューズ。ソールが独特だけど、軽いし剛性感あるし、気に入ってる。ただし、濡れた岩のグリップに関しては難あり。
  • Gitup Git2: いわゆる中華Go Proなアクションカメラ。安くて720p/120fpsで撮れて、電子手ぶれ補正がそこそこ使い物になって、防水ハウジングに入れてもコンパクトで頑丈...というわけで、けっこう面白い映像・写真を行動しながら撮れた。
  • Garmin Fenix 3: 9年くらい使ってたSuunto VectorがSUPで落水したら故障したので導入したGPS付きのABCウォッチ。公称16時間動作で、今回の行程は全て問題なくカバーできた。

レインウェアーについて思ったことは、よほどコンディションが悪い状態が長く続かなければ、スリーシーズンのスピードハイクではレインパンツをはくシチュエーションはほとんどないな、ということ。何といっても運動強度が高くて足は常に動いているので冷える心配はほぼなくて、樹林帯に入ったり天候が回復すれば自然と乾いていくので、ショーツでずっと行動してしまって特に問題がない。例えば怪我をして歩くしかできなくて、シビアな環境の中で運動強度が上げられないとか、とんでもない土砂降りに降られる...といった状況に備えるための非常用装備として持って行く価値はあるし、おそらく今後も持って行くとは思うけど、通常行動が可能な状態ではほとんど使う機会がないなということが今回の山行でよくわかった。

トレランシューズは簡単に浸水してしまうのが大きな弱点。むしろ、水抜けをよくする設計のモデルがあるほどで、水に濡れても気にしないのがトレラン流らしい。ただ、靴下グチョグチョだと足裏感覚も鈍るし気持ちが悪いし、濡れたまま強風下 で行動していたら足が冷えてしまう思うように動かなくなったりといったリスクはありそう。今回の山行では、水のついたハイマツ帯で藪漕ぎ気味に進んだ結果、強い雨ではなかったにもかかわらず靴の中まで浸水してしまい、樹林帯に入ってから靴下をしぼったり、乾いた稜線に出てからスペアの靴下に変えたりして対応。

トレラン経験豊富なメンバーと一緒に山に行くようになって、トレラン的な山の走り方ができるようになったなという印象がある。登山靴やアプローチシューズをはいて、単独で12-14時間程度のルートをコースタイムの半分近くで行動できていた時は、下りや平坦基調で走るというよりも大股でぱっぱと行動して、登りも600-700m/h程度で登っていたのだけど、ある程度積極的に走ると区間によってはコースタイム比25-35%程度に圧縮して行動できることが分かった。やや急な下りで大股でドスドス下りるというよりも、ハイケイデンスで小さいステップで下る感じ。これによって行動速度が劇的に早くなったかというとそうでもないのだけど、より長いルートを体に負担をかけすぎずに突破できるようになったな、という気がする。自転車でいうところの重いギアで筋肉に負担をかける走りではなくて、軽いギアを回してより心肺能力に負担をかけて筋肉の負担を減らす走り方のような感じ?

f:id:pastel:20161002113548j:plain

(主に動画撮影用のGitup Git2だけど、コンディションがよければそこそこきれいな写真が撮れる。観音岳のあたりから辿ってきた稜線を撮影。雲に霞んで地蔵のオベリスクが見える)

**

速攻スタイルでロングルートを踏破する山登りで、山小屋泊まりを積極的に活用して面白いルートを繋げる...というのは今回が初めてのチャレンジだったのだけど、ほぼ予定どおりに実行できて大満足。

他にも面白いルートのアイディアは沢山あるので、来年以降もこのパターンの山登りを楽しんでいけたらと思っています。