Run x Climb = Fun!!

登って走ってスピードハイク

登山活動のカテゴリーごとのMetrics

過去の登山・陸上活動のログを集めてきてカテゴリー分けして、Trail Route Analyticsのエンジン部分を使ってデータを解析してみました。

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カテゴライズしたアクティビティーは以下の通り。

  • Running: 舗装路のラン (例: 近所で10kmラン)
  • Trail Running: 舗装路・未舗装路・登山道ミックスのラン (例: 鎌倉アルプス、20km程度のレース)
  • Speed Hike: 登山道がメインのスピードハイク (例: 丹沢主峰縦走、甲斐駒黒戸尾根)
  • Hike: 夏道のハイキング (例: 大山、奥多摩の山、南北アルプス縦走)
  • Snow Hike: 雪山登山 (例: 雪の雲取山、南北アルプス縦走)
  • Variation: ロープは使わないレベルのバリエーションルート (例: 剱岳・長次郎谷、横尾本谷の遡行)

GPSデータの欠落が激しい沢登りや(沢沿いなので電波状況が悪い)、ロープを使うクライミングを伴うアクティビティー(停止時間が長い・技術的要素が大きい)は、データ比較の対象となりにくいため、今回の分析には含めていません。

で、各アクティビティーごとに、登り区間(斜度5%以上)と下り区間(斜度5%以下)の上昇・下降速度の平均値をまとめたグラフがこちら。

ハイキング・雪山・バリエーションの上昇速度が7-8m/min(420-480m/h)で、スピードハイクになると14m/min(840m/h)、トレラン・ランは20m/min(1,200m/h)という数値。下降速度はハイキングとバリエーションが-10m/min(600m/h)で、雪山だと-12m/min(720m/h)、スピードハイクは-19m/min(1,140m/h)、トレラン・ランだとそれぞれ-23(1,380m/h),-21(1,260m/h)となります。

これは先日書いた記事で紹介した肌身感覚の数値とほぼ合致しています。雪山だとちょっとだけ下りが速いのは、アイゼンが効いてるときは雪が安定した足場として機能することと、アイゼンを外した状態での下降では靴底で滑りながら下れるのでペースを上げやすいことと関係がありそうです。

フラット区間(斜度-5%から5%)のペース(min/km)を出したグラフを見てみると、足場がよくてランニングシューズで走る活動であるところのラン系が当然ながら速く(5min/km, 7min/km)、平坦区間でも必ずしも走り続けられるわけではないスピードハイクだと12min/kmとなり、登山系のアクティビティーだと20-25min/kmに落ち着く…ということになります。

先日の記事ではスピードハイクでは平坦区間を10/min/kmでこなせば…なんて書いてましたが、現実はなかなか厳しいことが分かります(汗)。

スピード以外で行動時間に地味に大きな影響を及ぼすのが休憩・休止時間です。ログデータのポイント間の三次元移動速度が0.2km/h未満だったら休止時間(Stopped Time)とみなす、というロジックで行動時間中の休止時間の割合を計算してみると、上記のようなグラフが得られます。

まず、ランニング・トレランは0%。レースでも練習でもほとんど止まらないので、まぁこんなもんでしょう。スピードハイクは5%でハイキングだと17%、雪山で21%、バリエーションで26%…という数値になりました。

教科書的な山登りでは1時間毎に休みを入れることとされているので、1時間毎に5分の休みを入れたとして8%。これに加えて一般的なハイキング・登山では山頂なんかでランチタイムとして大休止をとることが多いので、これが7時間の行動中の30分だとすると7%。あわせて15%が最小限の休止時間と言えそうですが、アクティビティーのまったり具合に応じてある程度ブレが発生するのでこのような結果になるようです。

ちなみに、バリエーションで休止時間が長いのは、おそらくルートファインディングで立ち止まったり、行程が捗らない区間を通過することが多いから…といった理由が挙げられそうです。

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スピードハイク的アプローチによって行動時間を圧縮することができる理由のひとつには、休止時間が圧倒的に短いというところも大きく貢献(一般登山に比べて約10%の圧縮)している、ということも分かりました。データは正直なので面白いですね。

これらの数値をそれぞれのカテゴリーのアクティビティーのプリセット値として使うことで、登山ルートの予想コースタイムを導き出すロジックが組むことができそうです。