Run x Climb = Fun!!

登って走ってスピードハイク

トレイルラン2015 AUTUMN WINTER

山と渓谷社のトレラン雑誌を読んでみた。

 

 コース紹介はなかなかよい感じで、先週走った大菩薩とか、スピードハイクとしての八ヶ岳全山縦走とか、トレイルランナーにもっと山の面白さを知ってほしいというメッセージが伝わってきた。

そして、何よりも面白かったのが「トレイルランの未来を考える」という別冊子で、ハイカーとの共生や自然へのインパクトといった内容を論じている中で(これはこれで至極まっとうな議論で一読の価値あり)、一人だけ異彩を放っている服部文祥さんへのインタビュー。トレイルランとハイカーの共生については「そもそも山で道を歩いてる時点で生ぬるい」と一刀両断し、トレイルランの大会について聞かれて「大会を開く意義・意味がよく分からない」とあっさり否定し、挙げ句の果てにトレイルランなんかじゃなくてトラックに下りて来いと煽ってみたり…とやりたい放題。とはいえ、トレイルランの大会にそこまで意義を感じないのは個人的には同感で、山を気持ち良く走りたければ個人の活動として自由にやればいいし、既得権益のように「山は歩くものだ」と信じきっているハイカーがたくさんいるような山には行かなければいいし…と思ったりするのも事実。

やや極論だけど、山登りが整備された登山道や快適な山小屋、そして携帯電話一本で駆けつけてくれる山岳警備隊の存在によってスポイルされ続けてきたことと、仮想的に守られた環境であるところの(これまたスポイルされた)トレイルランの大会が興隆していることの共通点として、自然とダイレクトに触れ合う機会をあえて減らすことで間口を広げてビジネスとして成功してきたという経緯があることを考えると彼の提起している問題の深さに気づくのではないかと思う。

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