Run x Climb = Fun!!

登って走ってスピードハイク

スピードハイクのルート探しとプランニング(2)

スピードハイク向けのルートを考えてみよ〜、という記事です。

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写真は奥多摩の稲村岩尾根から鷹ノ巣山に登り、石尾根を伝って奥多摩駅まで下ってくるルートのログなのですが、このルートは標高差1,150mの急坂を一気に駆け上がることができ、人も少ないので登りのトレーニングに最適なおすすめルートです。奥多摩駅まで下る石尾根がダラダラと長くて飽きるのが難点ですが…。

稲村岩尾根から奥多摩に繋ぐルートは、距離が15kmで累計獲得標高が1,330mあるので、トレイルラン・スピードハイク的な見地から見ればショートルートに分類されます。登山地図のコースタイムは中日原から鷹ノ巣山山頂までが185分、鷹ノ巣山から奥多摩までが220分なので、トータル405分ということになります。上のログでは山頂までが85分、奥多摩までが150分なので、所要時間が235分。コースタイムの半分強で行程をこなしている計算になります(圧縮率=42%)。

また、登りだけタイムアタック的なペースで走ったからということもありますが、圧縮できた行程は登り区間が顕著で(54%)、下り区間はそんなに飛ばさなかったこともあってタイムを圧縮できていません(32%)。石尾根の下りは快適に走り続けるには少し急なので、タイムを縮めるのには向いていない下りと言うこともできるでしょう。

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では、登りのスピードについて考えてみましょう。

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転車競技(ロードレース)には、VAMという指標があります。これはイタリア語のvelocità ascensionale mediaの略で、「平均上昇速度」を意味します。登りの速度に関する直接的な指標ですが、自転車競技ヒルクライムでは、この数値が分かっていれば競技をやる前からほとんど結果が分かってしまうくらい有意な数値です。

これと同じように、純粋な登りに関して言えば山登りでも「上昇速度」は有意な指標となります。高度計機能のついた腕時計を装備して行動している人であれば、山頂までの高度差と、パーティーの上昇速度から逆算して、山頂までの到着予想時刻を考えてみた人もいるかもしれません(一部の高度計機能付き腕時計には、毎分あたりの上昇速度表示されるものがありますが、これがあると簡易的に今の上昇速度を知ることができて便利です)。重力に逆らっての行動にボトルネックが存在しやすい登山では、水平方向の移動速度よりも垂直方向への移動速度(=上昇速度)をベースにして行動能力を計るほうが理にかなっているはずです。

では、実際の上昇速度はどんなものでしょうか?コースタイムに記載されるような平均的な登山者のペースは毎時300前後で、強いパーティで条件が揃うと500メートルに届くこともあるかな、というのが現実的な数値です。

標高差3,000メートルを駆け上がる富士登山競争では、現時点でのコースレコードが2時間27分なので、1時間あたりの上昇速度は1,224メートルになります。制限時間は4時間半なので、1時間あたり700メートル登ることができれば完走はできそう…という計算になります。

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スピードハイクはレースではないので、狙うべき数値は登山者よりも速く、トレイルランよりも遅く…といったところが現実的なところでしょうか。

自分の場合、1時間のタイムアタックで980メートルを記録したことはありますが、継続できるペースではないので一般的な登りが続く区間での上昇速度は毎時700から800メートルあたりと考えるようにしています。この概算により、登山地図のコースタイム比では大体半分程度の早さで登り区間をこなすことができる(はず)…ということになります。