Run x Climb = Fun!!

登って走ってスピードハイク

登山とトレーニング

「登山」の世界には、トレーニングをする文化があまりないように感じます。

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ランニングによる体力作りとか、クライミングでより高いグレードのルートを登れるようになるとか、ロープワークの練習をするとか、本チャン(アルパインライミングのルート)に行く前に沢登りで足慣らし・・・みたいなことはあると思いますが、山登りのために純粋な体力強化のためのトレーニングをする、という考え方は登山の世界では主流にはなってこなかったようです。

一つの理由として、重い荷物を背負って不整地のアップダウンを長時間歩く、という登山の行動パターンが普段の生活からかけ離れたところある、ということが挙げられそうです。オフィスの階段を登って下って・・・というのも一定の効果は得られるほど続けられる人は少ない気がします。登山に必要な体力は実際に山に行くことでしか得られない、という考え方がありますが、これは「重い装備を背負って」「重い靴をはいて」「ゆっくり歩いて」「長時間行動する」行動パターンに限って言えばその通りなのかも知れません。

また、古式ゆかしき「山登り」がスポーツというよりも文化的側面から語られてきたことも理由のひとつとして挙げられそうです。たしかに、山は無心になってガシガシ登るだけではなくて、景色や高山植物を楽しんだり、登攀的要素に挑戦したり、テント泊で満点の星を楽しんだり、山小屋でビール飲んだり、同行者との会話を楽しんだり・・・といったあれやこれやの活動を全部ひっくるめて楽しむものなのは間違いありません。

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しかし、ある程度シビアな山に行くと「山では体力が資本」ということに嫌でも気づかされます。自分の足でしか前に進むことができない山では、体力がない=行動する能力が低いということになるので、体力はいくらあっても困ることはないからです。もちろん、登山が体力以外にもルートファインディングやパッキング能力、それに適切な計画を立てたりコンディションを見極める能力や判断能力など、総合力が必要とされる活動であることに議論の余地はありません。しかし、山で行動する能力を計る上で最もベーシックなところに「体力」があることはよく理解しておくべきです。

より高い歩荷能力があればより長期にわたる縦走が出来るかもしれませんし、長時間行動でバテなければ最後まで判断が鈍ることがないでしょうし、ルートミスしてもリカバーする選択肢が取りやすくなるかもしれません。 山をより深く楽しむためには体力が必要になってくるのは間違いなく、トレイルラン的アプローチから山を楽しむとなればなおさらです。

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著者は自転車競技(ロード)の世界にどっぷり浸かっていた時期があり、その時にフィジカル(基礎体力)の強化がどれだけ山登りに効果があるかを知ることができました。

自転車競技の世界、特に純粋に登りだけの力が試されるヒルクライム競技は、レースをやる前からほとんど結果が分かってしまうほど実力が結果に直結します。そして、アマチュアレベルに関して言えば、その実力は限りなく単純に練習量に比例します。

運動に必要な筋肉をつけて、その筋肉を動かすための代謝システムを使い続けることで、システムの利用効率を最大限まで上げていくこと…これが持久系スポーツのトレーニングの基本的な考え方で、山登り、特に装備を軽くしてスピーディーな行動を可能にするスピードハイクをより楽しむためには、とても有効な考え方だと思います。